ラクロワの『真夏の夜の夢』


1980年代に頭角を現したアルザス生まれのデザイナー、クリスチャン・ラクロワ。


彼が3月9日~29日までパリで公演されているメンデルスゾーンの『真夏の夜の夢』のバレーの衣装を担当しています。




鮮やかな色彩と大胆な図柄が気品あるデザインとしてまとまる彼独自の才能は、まさに舞台衣装にぴったりです。


ラクロワの色彩やデザインの仕上げとして、スワロフスキーのクリスタルがあります。


衣装のあらゆるところにちりばめられています。


スワロフスキーの創設者のNadja Swarovskiいわく、スワロフスキーを使用し、200以上の衣装と、90以上のヘアアクセサリーを作ったということです。




ラクロワは、もともとオートクチュールのデザイナーです。

LVMHの代表であるベルナール・アルノーのサポートで自身のブランドも出しています。


自身のブランドをスタートしたのが1987年なのですが、1986年にJean Patouのデザインを担当していた時には、映画監督であるJean-Luc Tardieuが「君は舞台衣装を担当した方が良いよ」と言ったということです。


その後、ラクロワは、コメディーフランセーズやオペラ、バレエの衣装を多く手掛けるようになります。



舞台衣装のデザインでは、オートクチュールのデザイナーとしての自由さが無くなってしまうのは残念ではないかと聞かれた時、彼はこう答えています。


「ぼくは既に存在しているバレエやお芝居に現代性を与えることをとても楽しいことだと思っている。

子どもの頃から、過去の時代の中に、夢想の中にどっぷり浸るということもとても好きだったんだ。

子どもの頃からルキノ・ヴィスコンティ監督の映画『Guépard 山猫』などが大好きで、あの映画を見ては映画の衣装担当になりたいと何度も思ったよ。」



芸術は不思議なもので、まるで尽きることのない生命の泉のようなところがあります。

古典作品も現代において上演するということは、現代の時代精神や現代を生きる天才、そして現代の感性に生きる観客によって変化したり、融合したり、再発見されます。


そうした意味でラクロワの言う「現代性を与える」仕事は、不自由や拘束を越えていく芸術のダイナミズムの仕事だと言えるのかもしれません。





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