パリ7区のケ・ブランリ美術館の主催で、2007年よりビエンナーレで開催されてきたPhotoquai。
“最も若い世界的な写真展”とも言われる2年に一度の大規模な屋外写真展です。
セーヌ川沿いを歩きながら楽しめることや無料で鑑賞できることもあり、人気を集めています。2013年には、527,582人が来場。
第5回目となる2015年は、9月22日~11月22日までの開催でしたが、11月13日パリ同時多発テロによって急遽中止になり、4日間期間は短くなりました。それにもかかわらず、531,264人が来場し、これまでで一番多い来場者だったといいます。
その大規模写真展でもあり、一大イベントとも成長しつつあったPhotoquaiの中止が先日決定。
ケ・ブランリ美術館館長のStéphane Martinが発表しました。
一番の理由は、やはり財政的な問題でした。
Photoquaiは、正式の予算以外の手段で創られたもので、いたるところで節約し、メセナやスポンサーを拠り所として成り立っていたということです。
しかしながらPhotoquaiはこの企画自体で約80万ユーロ(≒一億円)かかりました。
ケ・ブランリ美術館の館内のエクスポの予算は、大体10万~120万ユーロです。
例えばテオティワカンやマヤといった国際的な展示となると、保険や輸送費やミュゼオグラフィ含め、大体120万ユーロの予算がかかるということです。
ですから、予算外で開催していたPhotoquaiが、館内のメインの展覧会と同じような、時にはそれ以上のコストがかかるため、これまでなんとか頑張って開催を続けてきましたが、これ以上続けるのは難しくなったということです。
また、二番目の理由としては、屋外での写真展示という方法がそれほど目新しくなくなったということがあります。パリでの屋外写真展覧会は、上院のあるルクセンブルグ公園の鉄柵にかけることからスタートしたといわれています。
最近では屋外展覧会を開催するオーガナイザーも多くなり、Photoquaiはそうした意味では競争相手との差別化が図れなくなってきた、ということです。
というわけで、残念ながら去年のPhotoquaiが最後の展覧会となってしまいました。
しかし、来客数も伸び、かつ知名度も高い展覧会だったので、同じような企画がヴァージョンアップしてまた再登場するかもしれませんね。
それこそ、アートマネジメントの実力の見せ所、といえるでしょう。
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