ー人生を愛し、世界を旅するマルチ・クリエイターー
「いちずに一本道、いちずに一ツ事」-。
日本の詩人・書家である相田みつをのことばである。
日本的美徳を示す、潔い美しい哲学といえよう。
しかしながら、「いちずに多数の道を進み、いちずに多数のことを極める」、そんなクリエイターが世界には存在する。
その典型的なアーティストが、Bertrand Desprezだ。
彼は、写真を芸術とするフォトグラファーである。
(Bertrand Desprez、1998年出版の写真集)
同時に、報道のカメラマンでありライターでもある。
ポートレイトやコーポレイトイメージを制作する写真家でもある。
さらに、サーカスパフォーマーであり、ダンサーでもある。
彼の創作および作品の特徴を一言で表現するならば、“生きることへの愛”だろう。
それこそが、マルチな彼の才能の源泉である。
そして、それこそが、多数の分野の道が“一ツ事”につながる鍵なのだ。
“生きることへの愛”は、彼の写真からにじみでいる。
彼が映し出す被写体は、写真に定められたスタティックな枠をはみ出す。
生きることは、一瞬一瞬において未知を切り開いていく連続である。
彼はその変化の可能性の一瞬を捉える天才である。
そんな彼の作風に新風をもたらしたのは、日本の自然と文化だ。
日本での作品制作以降、自然を映し出すアプローチに、自身の哲学が含まれるようになる。
どこかユーモラスで哀愁も香る、そんな複雑な作品も多い。
生きることそのものが割り切れないからこそ、生きることそのものを愛する彼の作品の特徴だともいえよう。
彼は、国境に閉じ込められることもない。
フランス、日本のみでなく、インドネシアやチュニジア、オランダ、インド等、世界を駆け巡りながら自身の活動を展開している。
どんなカルチャーにおいても、ベルトラン・デプレの才能と人柄が人を惹きつけ、チャンスを生み出すのだ。
アート、カルチャーは人間が創り出すものならば、やはり人間の生きることに対する豊かな愛情が新しい創造にも豊かな実りをもたらすのだろう。
ベルトラン・デプレの作品は、芸術であり、同時に哲学であるのだ。
特に混沌とした世界に生きる現代のわたしたちに、多くのメッセージをもたらしてくれる。
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【経歴】
1963年、フランス・ドゥエーに生まれる。サン・ドゥニにあるEcole Nationale Supérieure Louis Lumièreにてフォトグラフィーについて学び、写真の国家免除を取得。
1980年代に、ジャズシーンの写真で初の個展開催。1990年からフリーの写真家となる。彼を一躍有名にしたのが、フランスの若者を映し出した≪Pour quelques étoiles≫。黒人と白人の若者の何の変哲もない日常を集めたことで、脆く感受性の強い思春期の世代の現実が作品となり、絶賛される。これにより、展覧会や出版が実現し、賞を得た。その後、日本を訪れ、新天地を開く。異文化の発見からもたらされたイメージ、新しい純真さ、そして色彩の到来により、≪Les Quatre saisons≫が生まれた。同時に≪AO BA, la feuille bleue≫を出版。これにより、風景をドキュメンタリーであると同時に自身の哲学からアプローチする新しい方法が生まれた。
風景の探索とそこでの人間の位置を問題視する視点が、彼のクリエーションの源になっている。これまで出版された本は、9冊にのぼる。
KodakやHSBC、Villa médicis など、数多くの賞を受賞。
アーティストとしての活躍と同時に、定期的に企業やプレスの仕事を受ける。1991年から雑誌の記者となり、95年から現在まで出版社Bayard Presseの写真家、99年から現在までAgence VU'に所属。2000年から2010年では画廊baudoin lebon所属のフォトグラファー、2006年から2012年にはオランダ企業Wolters Kluwer出版の日刊紙Liasons Socialesの写真家として所属していた。そして2012年から現在は、芸術・文化複合センターのVilletteの写真家として活躍。その他、数々の大手企業の広報誌のための写真を撮っている。
人生を愛する人物らしく、主なる活動であるフォトグラフファー、ライターの他に、ダンサー、サーカスパフォーマーとして精力的に活動を展開する。
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