2015年9月2日、シリアから両親と共にボートに乗って逃れてきた3歳のAylan Kurdi君がトルコの岸辺で見つかりました。死因は溺死でした。難民問題、ひいては国際問題の犠牲者といえます。
この事件を契機に、ヨーロッパでは自分達の原理原則にかけ、人道的な観点から難民対策に取り組もう、シリアから逃れてきた難民を救おうという動きが一気に巻き起こりました。
その後、民族大移動といえる規模の多くの難民がヨーロッパに押し寄せ続けています。
この大きな問題に直面し、その上自国の経済問題があるため、ヨーロッパは疲弊し、行き詰まり状態になっています。
これが国内の政治問題に飛び火し、難民がヨーロッパに来ることに反対する人々の大規模なデモが各地で開催されたり、ヨーロッパで極右が台頭してくるという歴史的流れが生じています。
こうした流れを報道から見ていてると、ヨーロッパは解体するのではないだろうか、という危機感が増してきます。
一方で、メディアでは危機感を抱かせるようなセンセーショナルな事件が様々に取り上げられますが、従来のヨーロッパの人道主義の観点からコミットメントをし続けている人も大勢います。
そして時に、人道主義の人々の中にも、極右同様にセンセーショナルな方法を選択する人がいます。
ドイツのフランクフルトの近く、マイン河岸に、突如巨大なグラフィティーアートが登場しました。
難民問題の犠牲者といえるAyan Kurdi君を描いた作品です。
この作品を描いたのは、ドイツ人ストリート・アーティスト、Oguz SenとJustus Becker、ペンネームBobby BorderlineとCORとしても知られる二人です。
彼らは言います。
「この作品は、戦争を逃れヨーロッパに来るために死んだすべての子どもたちにオマージュを捧げるものです。」
「ぼくたちは、人々がドイツに到着した移民を見るのを恐れさせるようなエゴイズムについて、心を動かして改めて考えることを望んでいます。」
2015年、100万人を超える移民を迎え入れたドイツを揺さぶる過激主義の台頭に対して、Aylan Kurdi君の事件が起きた時に人々が示したヨーロッパの動揺と共感を再び思い起こすように願ってつくられた作品です。
この政治的で芸術的な行動は、当然ながら賛否両論の的になっています。
彼らは2014年から移民問題にグラフィティアートで取り組んでおり、2015年の難民問題ではボランティアとしても活動しています。
二人は、これからも社会に直面させられるテーマで動くと宣言しています。
この絵を見て、日本のみなさんはどう感じるでしょうか?
何を思うでしょうか?
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