フランソワ・ミッテランは、第21代フランス大統領です。
フランスの教養ある最後の偉大な大統領であったと言われている政治家で、その文章も高く評価されている文化人です。
彼は大統領を2期14年務めたのですが、その就任中、愛人Anne Pingeotと彼女との隠し子の存在がメディアによってスクープされてしまいました。
ミッテランはそれに対して真正面から対応したことでも一定の評価を受けています。
正妻のダニエルとは離婚はしませんでした。ダニエルにも愛人がいたと言われています。
ミッテランが亡くなる時は、アンヌ親子が見守っていたということですから、なんとも複雑です。
ただミッテランとアンヌの愛は真剣であったと言えるでしょう。
その愛がわかる本が、来週フランスでGallimardから出版されます。
ミッテランがAnne Pingeotに送った何千通もの手紙が一冊の本になりました。
" Lettre à Anne "です。
"Mon Anne chérie, le bonheur existe. Le bonheur d'Amsterdam. C'est ainsi que nous l'appellerons lorsqu'il viendra nous visiter."
(愛するアンヌへ、幸せは存在する。それはアムステルダムの幸せだ。このように幸せがぼくたちに訪れるであろう時、ぼくたちはそれをアムステルダムの幸せと呼ぼうではないか。)
"On ne raconte pas une journée si pleine quand la mouette n'a pas encore arrêté son vol nonchalant, (...) quand le voyageur boit encore à la source"
(カモメがそのゆっくりとした飛翔をやめないうちに、こんなにも満ち足りた一日を語ることはない。(・・・)旅人が泉の水を飲んでいるときに、こんなにも満ち足りた一日を語ることはない。)
"Et voilà que je ne sais plus quoi faire de moi, mon temps fini(...). C'est déjà si difficile de connaître l'usage qu'on doit faire de sa vie ! Le reste est plus simple pusiqu'il suffit de décider".
(こうして、ぼくは自分をどうしたらよいかもわからない。ぼくの時は終わったのだ。自分の命をどうしたらよいか知るのが、すでにこんなにも難しいのに!それ以外のことは実に単純なのだ、決心すれば十分なのだから。)
ミッテランの文章は、シャトーブリアンにも比較されるほど評価が高いものです。
幼い頃から詩や散文を愛し、自らも詩を創作していたミッテランですが、愛の詩は18歳になって初めて書いたと自身が言っています。
そんなミッテランの人生の愛の表現が、この本から読み取れることでしょう。
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