マテオ君の美しいイタリア語

北イタリア、フェラーラ県コッパーロに住む8歳のマテオ君。


この小さな男の子があることで話題になっています。


教室で女性教師マルゲリータ・オーロラが「《petalo》(=花弁)の複数形は何ですか」と聞きました。

イタリア語の《petalo》を複数形にするには、《petali》が正解です。


しかし、マテオ君がノートに書いたのは、《petaloso》。

マテオ君は複数形にするために《petalo》のoをiに変えるのではなく、間違えて《-oso》を付け加えたのでした。


しかしオーロラ先生は、マテオ君の文法的なこの間違えに、むしろ関心・感動してしまったのです。


なぜならこの《-oso》、語の後ろについて形容詞を作る接尾辞なのですが、もともとはラテン語に由来する言葉で、「多くの」という量的な意味があるからなのです。


つまり、マテオ君は無意識に、「多くの花弁のある」という新しい形容詞をつくり出したのでした。



この言葉の詩的な印象と音の美しさに見せられたオーロラ先生は、マテオ君にぜひイタリア・クルスカ学会(イタリア語の質を保ち文化の中での役割を果たすように見守っているアカデミー)に手紙を書くように促しました。


そこでマテオ君が手紙を書いたところ、アカデミーメンバーが手紙を返信してくれました。

そこにはマテオ君に向けて、丁寧な説明がありました。

「マテオ君へ、君が開発した言葉はとてもうまく構成されていて、イタリア語として使用されうるでしょう。(中略)とても美しく明快な言葉ですね。(中略)しかし、言葉というものは作った本人が理解しているだけではなく、多くの人が使い、理解する必要があります。」


これを見たオーロラ先生は、自身のTwitterに投稿したのです。

すると、イタリア中に一気に拡散され、多くの人が《petaloso》を理解し、使うようになりました。


この事実を受けてクルスカ学会は、正式に今年に入って《petaloso》をイタリア語として認定しました。


このことば、実は1991年に Michele Serraという人物が使っていたのですが、今回のマテオ君とオーロラ先生の働きにより、イタリア語となったといえるでしょう。




教育というものの面白さを感じさせますね。教師のオープン・マインドがあったからこそ展開した、子どもの能力開発の教訓に満ちたエピソードです。






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