日本でも少しずつ、子どもを持つ母親がママたちの会として様々な政治的・社会的問題に声をあげ始めました。
自由と人権の国・フランスでも、ママたちの会があります。
今、注目を集め、政治家たちを戦々恐々とさせているのが、《Brigade des mères》(母親軍団)。
彼女達は、家出をした子どもを見つけたり、失敗をやらかして困っている子どものために弁護士を見つけたり、DVを受けている女性を避難させたり、スクールカウンセラーが子どもたちの未来を決めるようなことをすべきではないと演説します。
それと同時に、母親たちは学校をさぼっている子どもたちにも容赦なく小言を言い、刑務所から出てきた人に仕事を見つけてやったりします。
とにかく困っている人に対しての幅広いサポートをしています。
その代表を務めるのが、Nadia Remadnaです。
彼女自身、13歳の時に故郷アルジェリアから逃げてきたのでした。
イスラム教の男性優位社会における父親の元から抜け出し、アルジェリアのセティフへ行って1人で生活を始めました。
こうした背景から、最初のころは、彼女は自分の運動をアラブの父性社会に対する攻撃に向けていました。
しかし、2015年11月13日のテロ事件以来、イスラムの現代における問題に深く心を寄せるようになりました。
そして、ともすれば政治的理由のために、地方議員や市長たちが貧しい地区の子どもたちよりも選挙のために政策を掲げていることに怒りを覚えたのです。
こうした中、彼女は「母親軍団」を作りました。
恵まれない地域の子どもたちが運命というものに流されるのではなく、きちんと勉強し、麻薬の売人や運送屋、テロリスト、家政婦のような仕事以外にも、自己実現の道を歩めるようにしようではないか、と決めたのです。
彼女が最近出した本『わたしはどのようにして子どもたちを救ったか?』には以下のようにあります。
「わたしは、なぜ時として移民の子どもたちが、悪い運命を辿ってしまうのかを知ろうとしました。なんといったって、彼らも同じフランスの学校に通っているではありませんか。なのに、わたしたち移民の子どもたちのほうが、警察署に時として連れて行かれたり、裁判所に行ったりしている。たまに、移民の子どもがとても優秀でよくできると思ったら、今度はフランスの子どもたちよりも失業していることが多い。しばらく前ならば、こうした子たちが不良になるのではないかと心配していました。しかし今は、彼らがテロリストになるのではないかと心配するようなってしまいました。私たちもフランス人ですが、このままでは、心配と恐怖と共に生きなければならなくなってしまうでしょう。これではまるで、市民戦争の時代のアルジェリアと同じことです。わたしたちもフランスを愛しています。これはもう、みんなで立ち上がらなくてはいけないのです。
郊外(の恵まれない地区)では、町の中のカフェに行って、みんなと一緒にミントティーを飲み、様子を見る。なぜなら18時以降は女性が怖くて外に出られないようになっているからです。
これは政治問題なのだから、わたしたちが政治に立ち上がらなくてはいけません。
わたしは、辞職したお母さんというものを見たことがありません。あなたが子どもを1人持ったら、お母さんという役割は一生続きます。お母さんにとっては、40歳で定年、60歳で定年、80歳で定年ということはありません。
しかし、わたしはすでにくたびれきり、疲れきったお母さんというものをたくさん見てきました。」
彼女は自分の次の計画、『お母さんの共和国の学校』というものを設立しようとしています。
その目的は、家庭がもっている問題から家庭を救い出し、郊外の子どもたちを運命的な危険から救い出し、イスラム過激主義や麻薬から遠ざけることです。
画期的なのは、この学校では、お母さんと子どもが共に学べることです。
法律などの科目はもちろん、彼女が大切であると主張する哲学が学べます。
彼女は、哲学がオープンマインドを創ると信じています。
現在多くの人々は、自分のカルチャーや伝統に閉じこもっているからです。
この活動に対し、昨日の記事でも取り上げた哲学者でフェミニストのElizabeth Badinterは、彼女のことを「現代の啓蒙時代の代表」として絶賛し、この計画にサポートしています。
ちなみに、Elisabeth Badinterはフランス一の広告会社Publicisの監査役会会長兼大株主であり、彼女の夫は、フランスの死刑廃止を実現した元法務大臣のRobert Badinterです。
こうした力強いサポートを得て、フランスの『母親軍団』の活動はますます力強く、ますます共感の輪を広げていますから、学校の設立もそう遠くはないでしょう。
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